HOME > 技術情報 > ウエットクリーニングの問題点(収縮)
ウエットクリーニングでの問題点には収縮、色泣き、 艶の消出等がありますが、ここでは収縮についてまとめました。
天然繊維や再生セルロース繊維は水を吸いやすい繊維で、水中では多くの水を吸収して膨潤します。膨潤すると糸と糸の間が詰まりますが、その時に機械力を加えると張力に引っ張られ更に糸同士の間隔が詰まり収縮します。これらの繊維の分子は水となじみやすい分子基を持ち水和するからです。この収縮を緩和収縮と言います。
天然繊維の中でも獣毛繊維(ウール等)は繊維表面に鱗片構造をもつており、水中のウールは鱗片が開き、この時に機械力が加わりますと鱗片が絡み合って縮絨収縮します。これはフェルト化とも呼ばれています。ポリエステル、ナイロン、アクリルは水中での膨潤しないので収縮は殆どありません。
収縮を防ぐには水を含んでいるときに機械力を加えないことです。 洗浄時は間欠回転や弱回転を用い、脱水時はたたむか厚手のタオルに包んで行います。乾燥には自然乾燥がいいのですが、タンブラーでは20~40%の乾燥で留める必要があります。
繊維保護剤、からみ防止剤は水中での繊維間摩擦の低減に効果があり、特に鱗片の絡みを低減する効果があります。繊維保護剤、からみ防止剤は洗剤ではモノゲンウォッシュ、モノゲンリッチに配合しています。加工剤としてはモノゲンケアがあります。
収縮を防止する加工としては繊維間の空間を樹脂で埋める樹脂加工、予め高温水で処理して繊維間空間を少なくした防縮加工、ウールの鱗片をシールして絡み合わないようにした縮絨防止加工などがあります。