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移染防止剤について

ウエットクリーニングに用いられる移染防止剤について。

1.移染防止剤とは

移染防止剤は洗浄中に品物から脱落した染料が他の部分に染着することを防止する薬剤です。移染防止剤を用いると堅牢度の弱い染料や、余分に乗っている染料は水中に脱落しますが、防止剤成分である高分子樹脂に安定的に包み込まれます。

2.移染防止剤の成分

成分は水溶性の高分子樹脂で分子が長く複雑な構造をしているため、水中に安定的に溶解すると同時に染料分子を樹脂分子中に取り込みます。


水中に溶解した移染防止剤は下図のようになります。

3.移染防止洗浄

移染防止は洗剤により色が出やすい洗浄時に行います。移染防止剤を用いると洗浄液が着色しやすくなることもありますが、脱落した染料分子をしっかりと補足し移染を防止してくれます。 色止めは洗浄前に行ない染料分子を繊維上に固着させるのに対して、移染防止は洗浄中に行います。ゲンブ色止め剤は直接染料をはじめ反応染料、硫化染料に効果があります。。

4.色止めについて

ウエットクリーニングで行う色止めは、堅牢度が弱い染料にカチオンであるフィックス剤(色止剤)を付着させます。染料はアニオン性であるので付着した物質(コンプレックスと呼ぶ)は不溶性になり堅牢度が増します。また食塩、酢、硫酸ナトリウムなども染料を水中ににじみ出しにくくさせる効果があります。