HOME > 技術情報 > ドライクリーニングのフイルターについて
現在出回っているドライクリーニング用フイルターは、ペーパー、パウダー、布(繊維)フィイルターがあります。構造は違いますが、溶剤中に不溶なスス、埃、糸くず等を捕捉します。
ペーパーフイルターには石油ドライでもっとも多く使用されているカートリッジフイルターがあり、ペーパーの中にはカーボンなどの吸着剤が充填されているものが多く出回っています。
フィルターの種類 | 孔 径 |
パウダー | 2~40 ミクロン |
ペーパー | 30~50ミクロン |
布 | 30~50ミクロン |
フイルターの孔径は右表の通りです。中で最も細かい汚れを捕捉するのが、パウダーフイルターであります。
(孔径---溶剤が通過できる穴の大きさ)
洗剤分子の大きさは約20オングストロームと言われます。また洗剤分子が集まったミセルは50~100オングストロームで、最も細かいパウダー(2ミクロン)の穴より200分の1以下です。したがって透明に溶けた洗剤がパウダーに捕捉されることはありません。
透明 | 0.05ミクロン以下 |
半透明 | 0.05~0.1ミクロン |
青~白色エマルジョン | 0.1~1ミクロン |
ミルク色 | 1ミクロン以上 |
溶剤の濁りが問題になりますが、牛乳のように濁った場合は、1ミクロン以上で、場合によりフイルターに捕捉され、圧上昇になることがあります。しかし透明液であれば、0.05ミクロン以下であり、フイルターに負担はかけません。
フイルターの圧力上昇は、孔径が埃等で塞がれて、溶剤が通過する穴が少なくなり(または穴が小さくなり)、ポンプで押しても通過しにくくなるので圧が上昇します。
いままで述べたように、溶解した洗剤(ドライソープ)により、フイルターの孔径を詰めることはありません。しかし洗剤を添加すれば、汚れ等を細かく分散し、大きな汚れも30~50ミクロンにしますので、その結果フイルターに捕捉され、圧上昇になるわけです。洗剤を添加しないと汚れ粒子が大きいままで、フイルターの孔径より相当大きくて、目を詰めることなく、圧上昇しにくいと言えます。
洗浄力の強い洗剤ほど、汚れを除去し、かつ分散力が高いので、一般には圧上昇が発生し易いと言えます。また水分の影響により圧上昇する場合もありますが、この場合は洗剤チャージ液が水と
ペースト物を作らず、素早い水可溶化能を持つことが必要であります。
①洗剤濃度の高すぎる場合
②溶剤タンクの掃除不足
③一度に多量の洗剤を加えた場合
④水分(前処理)が多い場合
⑤埃の多い衣料を洗った場合
⑥樹脂加工剤(撥水剤、サイジング剤)の付いた衣料を洗った場合
⑦微粉カーボン、脱酸剤を加えた場合
⑧洗剤が溶解しない場合
等が考えられますので圧上昇の場合はチェックして下さい。