ドライクリーニングをおこなうと背広、ジャケットの裏地に輪シミや縁ドリが発生することがあります。またダウンジャケットをドライクリーニングしても縫い代に筋状シミが発生することがあります。今回この輪ジミについて考えてみたいと思います。
①パーク機で洗うと上着の裏地にむらむらのシミが発生することがある。
特に小型のパーク機で発生しやすい。
②石油ドライでダウンを洗うと縫い代に添って筋状のシミが発生した。
③婦人ワンピース(素材はポリエステル)を石油ドライしたら全体にまだらなシミが発生した。
以上の例からも輪シミが発生するのは薄地の部分であります。また裏地、ダウンジャケットのように厚地の部分に隣接した部分にシミが発生しやすい傾向があります。
原因は溶剤中の不揮発性残渣が多いことです。またダウンジャケットでは羽毛が綺麗に洗われていないことも原因となります。いずれにしてもクリーニング溶剤中に油分が多いことがあげられます。
溶解している油分が多く薄地にその溶剤がつきますと薄地ゆえ乾燥ムラが生じます。また縫い代部分のシミの発生は他の部分に比べて乾きが遅いので溶解している油分が縫い代の方に寄ってきます。その為、縫い代部分は油分が多くなり油シミとなって目立つようになります。原因を列記しますと以下の通りになります。
①溶剤が着色していること。
②溶剤に溶けている油性物質(ソープも含む)が多いこと。
③脱液がゆるいこと。
④乾燥が遅いこと。
⑤ドラムに品物を詰め込みすぎの場合
溶剤に溶解していた物質がシミになっていますので、再度ドライクリーニングをすれば除去できますが、溶剤が汚れていますと再度シミを発生させますので、綺麗な溶剤で洗うこと、もしくは新液で濯ぐことも必要です。
べつの方法として綺麗な溶剤をシミの部分に付けエアーで乾燥させる方法でも除去出来ます。また市販スプレータイプの輪ジミぼかしでの修正できます。染料が混じった輪ジミについてはこういった方法だけでは除去しにくい場合があります。
①溶剤の色相を良くしてかつ溶解物質(溶剤に溶け込んでいる油性物質)の量を少なくすること。
カートリッジフイルターの取替えや、カーボンを使用する。
②脱液はしっかりと行う。脱液時に機械バランスが取れていることも重要。
脱液時間は7分以上行う。また品物が少なすぎると回転バランスが取れずにかえって絞りが悪くなります。
③乾燥スピードが速くなるような方法をとること。
乾燥機に品物は適量以下にして乾燥温度はドラム内で60℃程度に設定する。
④ダウンウエアーをドライ洗浄すると溶剤状態がよくても際シミの発生を完全に防止できません。
ウエットクリーニングできる品物はウエット処理を進めます。