HOME > 技術情報 > ドライクリーニングでの水使用について
ドライソープの主な働きは以下の通りです。
ドライクリーニングでの水使用の利点と悪影響を纏めますと以下の表のようになります。
利点 | 悪影響 |
水溶性汚れの除去向上 溶剤帯電の抑制 衣類の静電気抑制 |
衣料のシワ、縮み、色泣き、輪シミ発生 フイルターへの負担増 タンク下部へのヘドロの堆積 蒸留での突沸 機械の腐食 |
汚れを分類すると油性、不溶性、水溶性に分けることが出来ますが、ドライクリーニングで除去する汚れは油性、不溶性の汚れで、水溶性の汚れは除去することが出来ません。水溶性の汚れは食べこぼしのシミや汗ジミが代表的であり、食べこぼしのシミは特に目立ちます。
このような水溶性の汚れは水を使用しないと除去することが出来ず、そのためにシミには水溶性前処理剤を用います。汗取りソープや水をドライ機に添加して洗浄する方法も考案され使用されていますが、これは水の水溶性汚れ除去を生かす方法であります。
また微量の水分がドライクリーニング溶剤中に透明に溶解した状態(可溶化という)では通常電気を通さない石油溶剤中でも電気が流れやすくなります。これはソープの介在も必要ですが、同時に衣類にも静電気が発生しにくくなります。
悪影響として衣類トラブル(シワ、縮み、色泣き等)、機械上のトラブル(フイルター圧上昇、ヘドロの堆積、機械腐食、蒸留での突沸)があります。
衣類トラブルはドライクリーニングで洗浄を前提とした衣類に水を使用する為に発生します。また機械も溶剤使用を前提で設計されていますので水が混在した場合の状態には対応しにくいのが現実です。
水溶性前処理剤を用いてシミを処理するのは有効な方法です。但し部分的に水分濃度が高くなった状態ですので小皺、艶の消失等が発生しやすいので注意がいります。水のトラブルを完璧に防ぐ為に、前処理でシミを抜き、湿気を完全取ってからドライクリーニングされる業者もおられます。
ドライ機に汗抜き剤や水を添加する方法は高レベルの知識、経験が必要になってきます。また全衣類が水の影響を受けますので、専用ドライ機を用いた方法や、水の取り扱い、影響を熟知した業者でないと勧められません。